有名人鑑定コーナーの第一回目は、宇多田ヒカルである。
彼女のチャートを例にとって解説していくので、これによって、インド占星術の奥の深さを皆さんに感じていただけたら幸いである。
まず、彼女のチャートの中で、特徴的なのは、シャシャ・ヨーガである。
シャシャ・ヨーガの特徴というのは、古典にはいろいろ書かれている部分があるわけだが、要約すると、シャシャ・ヨーガというのは、カリスマということができよう。
これは、もともと一般大衆・民衆・労働者など表わす惑星であることから、大衆に対するウケがいいということ。つまり、カリスマ的存在になるということができる。
彼女のカリスマ性については、誰もが認める事実であるが、彼女はもともと、そのような星の下に生まれてきたことの証明が、このシャシャ・ヨーガなのである。これは、とても興味深い事実である。
この土星について深く検討すると、最高星位で、自分自身を表わす1室の支配星でもあり、1室および収入などをあらわす2室の支配星でもある。そして、これが職業と関連する10室にきている。これらは、多くの収入を得ることを表わしている。
職業を表わす10室の支配星について見てみると、10室と5室を支配する金星がきている。5室というのは、これも音楽や創造をあらわすハウスである。それと、10室を両方支配する金星、これが1室にくるということで、音楽関係の仕事というのは、この段階でもかなり強く出る結果となる。
音楽的・芸術的な方面を表わす金星が自分自身を表わす1室に入っていて、1室の支配星である最高星位の土星は10室に入っている。この10室と1室という星座交換の場合、お互いの意味合いがかなり強く出るということがいえよう。したがって、かなりの名誉・地位を得ることができ、有名になるということが暗示されている。
通常、音楽に関連する惑星というのは、金星・月・水星であることも、ここで付け加えておこう。それから、ハウスで言えば3室で、ダンスとも関係があるハウスということができる。それと、5室。そうすると、3室に月が入っていて、3室の支配星の木星は、利益のハウスともいえる11室に入っている。
この位置から木星は3室にその力を返していることから、3室の作用がすごく強くなるということができる。また、5室の支配星の金星が1室に入っている。同時に10室を支配していることから、3室の支配星の木星は、3室・5室・7室にアスペクトしていて、特に5室に対するアスペクト。これは、木星が3室を支配していることから、音楽方面での才能とも関連してくる。そういう5室関連の仕事というのは、音楽やダンス、そして創造活動ということになる。
例えば、月を1室として見た場合は、10室の支配星が木星であり、木星で、3室・5室にアスペクトすることになる。またここでも、3室・5室が出てくるということは、彼女がいかに音楽の才能に恵まれているかの証明でもありうる。
あるいは、水星の方にもダンスとか音楽というのがあるわけだが、月を1室として見た場合には、水星が10室にくることになる。それから、ナヴァーンシャ(9分割)方ではラグナが双子座である。10室の支配星が5室にきている。これも音楽と関係があるのである。5室の支配星は3室に入って、月とコンジャンクト。ナヴァ
ーンシャの月を1室として見た場合に、金星が10室・職業のハウスを支配していて、同時にダンスと音楽のハウス3室と10室を支配していて1室にくる。利益を表わす11室と2室の支配星である水星がこれまた5室である。
ナヴァーンシャの月を1室とした場合のラージャヨーガ・カーラカの火星と一緒に5室にある。
こんな感じで見ていくと、3室・5室、金星・月・水星が出てくるということで、音楽的な造詣の深さは強く暗示されている。彼女の音楽活動は、単に歌を歌うだけでなく、作詞・作曲をしたり、自分自身で振りつけを考えるなど幅の広いものとなるだろう。また収入面についても、年齢的に、10代で数億円の年収を稼ぐということは驚異である。しかし、それも彼女のチャートの中には、しっかりとでているところが興味深いといえる。
彼女のダシャーを見ると、生まれたときから一番強力な土星のダシャーなのである。
では、今後どうなっていくかということについては、水星のマハー・ダシャーだと、まず逆行していて12室に在住している。水星を1室とした場合、水星は10室の支配星でもあるわけだが、これは土星からのアスペクトを受けている。水星を1室とした場合には、11室に在住している土星は2・3の支配星であるから、土星単独でもダーナ.ヨーガ、水星とのアスペクトでもダーナ.ヨーガが形成される。音楽関係の活動は続き、その分野での収入もまずまずということになるだろう。
ただ、月が8室の支配星で、これが10室にアスペクトする。これで、若干10室が傷ついてくる。そして、今までの一番強力な土星のダシャーから、12室で逆行してケートゥとコンジャンクトしている水星のダシャーに移ったことになる。ちょっと状況が変わってくるのは仕方のないことである。
今回の卵巣腫瘍を見てみても、水星は逆行しているし、土星からのアスペクトもある。
水星とケートゥがコンジャンクトしているが 、ケートゥがムリチュヴァーギャに入っている 。ムリチュヴァーギャとは、致命的な度数を表わし、病気や事故に良くない度数である。けっこう水星が傷ついてのである。水星というのは7室の支配星でもあるから、そんなことからも、下半身の病気になったと考えられる。
あと、ナヴァーンシャでは、水星はラーフともコンジャンクトしている。これも水星を1室とすると1室でコンジャンクトになるわけだが、ラーフの象意である腫瘍ができてもおかしくないのである。
結婚運に関しては、水星期は結婚してもおかしくない配置にある。出生図のチャートでは、水星は7室の支配星である。配偶者を見ると言われるナヴァーンシャ(9分割)では、アセンダントから見て、水星と火星が7室に入っている。水星を1室としても、7室の支配星である。彼女が結婚したダシャーは、水星/水星/火星、まさにチャートに表われていたとおりの時期に結婚したことになる。ただし、結婚相手にやさしさを求めすぎて苦しむか、ケンカ別れになる配置あり。口げんかには要注意。
親子運に関しては、父親の影響が大きいことが予測される。というのは、太陽は父親を表わすのだが、その太陽が1室にあるからである。父親は9室、10室で見ると言われているが、10室の支配星である金星も1室にある。9室の支配星である水星も12室にあり、父親との関係に困難な表示がある。
彼女に関しては、チャート全体がかなり強いため、音楽界での大きな活躍が期待できる。さらに、金星や3室が関連して強力なダーナ・ヨーガが形成されているため、がんがん稼ぎまくるだろう。水星は12室に在住、外国を表わすケートゥともコンジャンクト、
1室の支配星が外国を表わす12室、今後はさらに海外への欲求が高まるだろう。